やる気スイッチはどこにある? − 脳の性質を知ってうまく付き合っていく

脳の性質について

まず、脳の性質について解説するとこから始めます。
ご存知のとおり脳は人体の中でとても重要な部位です。重量としては体重の2%程度ですが、エネルギー量としては全体の18%程度を消費します。

飽きっぽいのは自分のせい?

脳は情報や経験など同じ刺激が継続して入力され続けると、その刺激を徐々に和らげていくためにマンネリ化していく性質があります。「脳の馴化(じゅんか)」です。
常に刺激に興奮しエネルギーを消費し続けるのは負担が大きいので、それを防ぐための防衛機能であると考えられています。
このマンネリ化状態の脳は省エネモードになり、同じ刺激に対して脳が活性化しない=飽きてしまうことになります。

自分が飽きっぽいのかと思ってたいましたが、そもそも脳がそういう性質なんですね。

脳のやる気担当者はどこにいる?

マンネリ化する性質だというのは分かったけど、マンネリ化したまんまじゃなく、活性化させてやる気を出したい。

分かります。俗に言う「やる気スイッチ」ですが、脳の奥深くにある淡蒼球(たんそうきゅう)という部位が影響していると言われています。しかし、無意識の領域にあるので、この淡蒼球自体を「やる気よ、出よ!」とこちらの指示でコントロールすることはできません。

でも、こちらの言うことは聞いてくれないのに、脳内の周辺部位の影響は受けやすいんです。

というわけで、淡蒼球自体ではなく周辺部位を活性化させることでやる気を出させる作戦に出ます。

1、作業興奮 ー ひとまず動く、動けばやる気はついてくる

まず一つ目は、身体を動かすことによって「作業興奮」を発生させる作戦です。
ひとまず簡単な動きや作業を始めます。その動きで脳を刺激し、徐々に側坐核(そくざかく)を活性化させます。活性化することで脳内物質のドーパミンが放出され、それを受けて淡蒼球も活性化しやる気が出てきます。

休みの日とか「起きてあれこれやるの面倒くさい〜〜」とダラダラしてしまいがちですが、起き上がって簡単な家事を始めたら他の家事も身体が自然に動いて作業が進むことがあります。
また、家で仕事するのが面倒くさいときも、ひとまずイラレを立ち上げてごく簡単な作業だけでも手を動かすことで徐々にやる気になってくることがあります。
それが「作業興奮」が起きてる状態だったんですね。

2、リフレッシュ ー 脱マンネリ!日常と異なる情動体験

二つ目は、マンネリ化に飲み込まれないよう、新しい刺激を得てリフレッシュする作戦です。
マンネリを感じて飽きてしまうのは仕方のないことだと前述しました。だからと言ってどんよりし続けても脳は活性化しません。

いつもと違う音楽を聞いたり、いつもと違う道を歩いたり、いつもと違うものを食べたり、いつもと違うお店に入ったり。時間が無くてたっぷり遊ぶことはできなくても、ちょっとした変化を日常に取り入れることで、新しい刺激を受け記憶を司る海馬が活性化し、淡蒼球も活性化させます。

3、報酬 ー 行動の先に喜びを用意する

三つ目は、ご褒美・報酬を用意することで淡蒼球からやる気が出させる作戦です。
「この作業をしたら良い結果が発生する」と認識することで脳が活性化し、ドーパミンが放出されます。このドーパミンを受けて淡蒼球もやる気を出します。

報酬と言ってもお金だけを意味しませんし、美味しいものを食べられる、欲しかったものを買える、といった「外発的動機」だけではなく、周りの環境が良くなる、皆が喜ぶ、達成感を得るといった「内発的動機」も報酬となります。
また、タスクを細かく分け達成感を得やすくするのも、ご褒美に繋がります。

ご褒美目当てでやる気が出るなんて欲深くて恥ずかしい……と思っていましたが、脳の性質とあれば遠慮はいりませんね。

4、なりきり ー 成功に向かって演じる

最後は、憧れの人や「なりたい自分」など思い描き、なりきって行動をすることで、イメージや創造力を司る前頭葉が活性化し、淡蒼球も影響を受けてやる気を出させる作戦です。
なりきることで成功する将来像を強くイメージし、成功に向かった道筋を辿って行動することにも繋がります。また、ポジティブ・シンキングにも繋がりますね。

その他

脳の疲労回復には

脳の「疲れ」はストレスから発生すると言われています。
ストレスを受けないようにする、なんてなかなかできることではありませんが、質の良い睡眠を取ると睡眠時に脳内のリンパ液の流れが良くなります。運動をする、湯船に浸かるなどして睡眠の質を良くし、脳内の老廃物をリンパ液によって洗い流してしまいましょう。

GABAって脳にいいの?

チョコレートやサプリなどGABA入りのものがありますが、実際に効果があるのでしょうか?
脳内の血管は、脳に入る物質を制限するため細胞が互いに強く結合して壁にほとんどすき間のない「血液脳関門」と呼ばれる状態です。そのため栄養として摂取してもこの関門を突破できないようです。
プラセボ効果を目指すには良いかもしれません。

マンネリ化を逆に利用する

マンネリ化と言っても、悪い面ばかりではありません。面倒くさいと思ってることも行動の習慣化にすることで面倒くささが麻痺し、ルーチンワークで作業ができるようなったりします。
例えば歯磨きや皿洗いですね。面倒くさいけど、そういうものとして負の刺激も薄めさせる作戦です。

色々やったけど、やっぱりダルい

疲れてるんですよ。休むときは休む!

この記事書いたんなら、やる気コントロールできてんの?

できてません。努力します!

大脳各部の詳しい解説は以下を参照なさってください。