1週間ワーケーション&ファームステイしてきた話 | 京都府綾部市

行くぜ!綾部

コロナが落ち着いてきたこともあり、いい加減遠くに行きたーーーーい!と思い切って昔馴染みの友人がやっている山陰地方は京都府綾部市の農家民宿へ1週間ワーケーションしてきました。

バケーションではなくワーケーションということは仕事も持っていくということ。
以前見かけた某市のワーケーション体験プランでは、地元での体験交流・観光がスケジュールぎちぎちに組まれており、ランチ後30分ほどメールチェックの時間が設けられてるだけ。それって仕事になる??どんなお仕事を想定されてます?!とビックリ。それかたっぷり遊んで夕食後に部屋で血眼になって作業するのかも。。
私の場合、WEB制作・運営業務なのでメールチェックだけで完了しません。かといって旅先で通常通り8時間勤務するとしたら普通に家で作業していた方が効率がいい。
ならば、間を取る。半農半Xという言葉がありますが、半農半ワークです。

夏期冬期休暇、大型連休じゃなくても、1週間くらいなら仕事の調整もできるし、業務に穴を開けるなどして他の人に迷惑をかけずに済むはず(済んだかな?)。有給消化にもなります。
ずっと在宅勤務なため、ノートPC担いで移動も慣れたものです。
ウチのガジュマルくんは持っていくことも家で放置することも難しかったので、いっぱい緑を育てている友達に預けていきました。

国内旅行が復活ぎみなので新千歳から関空までのLCCもほぼ満席。皆、旅したかったんだよね。分かる!
最初の一泊は京都市にホテルを取り、ブライアン・イーノ展へ。ここまでは都会のバイブスで。
翌日、京都駅から鈍行で2時間弱。綾部駅には友達が車で迎えに来てくれました。駅前の酒屋で地酒を購入しつつ、車で約20分、着いた先は山あいに田畑が広がり古民家が点在する美しい農村でした。

古民家を改築した民宿

農家民宿とはいえ友達一家のプライバシーもあるので、民宿内は撮影していません(撮影禁止とかではないんですが)。

午前中は農作業のお手伝い

元々友達のところでは、よっぽど農繁期じゃない限り午前中で農作業を終えるスタイルだったので、午後に仕事をしたい私のスケジュールとの兼ね合いがちょうど良かったです。
ツナギだけは持参し、農作業用のゴム長靴や用具は農園のを借りました。

まず、お目当てだった無農薬栽培の田んぼに黒米を植えるお手伝いをしました。2〜3時間の作業でしたが、泥に足を取られるわ、慣れない姿勢を続けたため、身体がバッキバキに(苦笑) 立ち上がるたびにうめき声を上げるうるさい人になってしまいました。
しかしあれですね、自分で植えた田んぼはかわいいですよ、本当。台風来たら田んぼ見に行っちゃうお爺ちゃんの気持ちがよく分かります。
小学校の体験依頼30数年ぶりの田植えでしたが、「やっぱ日本人なんだから田植えしなきゃ」と主語も主張も唐突に大きくなりそうになりましたが、30数年ぶりのくせに語る中年ってのもアレなんで自重。

あとは天候や畑の状況を見て、胡麻の種(胡麻ですけど)を畑に撒いたり、麦を収穫したり、トマトを支柱に誘因したりトマトの苗と会話しだしたり、雨が降ったら鶏を小屋に戻したりと、バラエティに富んだお手伝いができました。

雨降りが続き、友達が収穫のタイミングを悩んでいました。

午後はPCに向かう

緑豊かでのどかな農村。窓を開けると気持ちいい風が吹き抜けていきます。木々がさざめき、鳥の鳴き声が響き、遠くから草刈機の音が聞こえてきます。Youtubeで聴いてるような環境音楽が、本物がここに。
客室は離れだったため、完全に1人の空間で守秘義務も感染対策もバッチリです。
客室でPCをカチカチしてると正直「畑仕事の方が楽しい」と思っちゃいますが、新鮮な気持ちだからそう思うだけで田舎に飽きてきたときにそう思えるかな?

4時間作業ですがメリハリ付いたおかげか集中して作業できたので、普段より効率良く作業が進みました。
この4時間というのが肝で、出先ってどうしてもデスクやチェア等、作業環境が微妙じゃないですか(民宿では畳に座布団でした)。これより長時間だったら腰に来てたと思います。

現在の業務はメディア運営がメインで、CMSで過去記事リストをカチャカチャする作業だったので出先でも楽に作業ができましたが、WEBコーディングだったらこんなのんきにはできなかったでしょうね。
民宿にはwifiが完備されておりオンラインミーティングも問題なかったのですが、業務用のスマホがIP電話だかなんだかで電波が遠く、音声ブツ切れで私物のiPhoneで掛け直したりしました。ここは要注意な点かも。

1日だけ副業のご依頼をいただき、その日はたまたま雨で農作業もできなかったので、友達家族は温泉・お買い物、私は午前副業&午後本業とお仕事させてもらいました。客間は離れとはいえ、友達家族もプライペートの時間も必要だろうし、良いタイミングで依頼が入ってくれたと思います。

晴れるとすこーんと青空が広がります。

「そこの土地の日常の生活を過ごしたい」

事前にそう友達に伝えていたこともあり、また田植えシーズンで忙しかったこともあり、あちこち行かずほぼ農家の敷地内で過ごしました。
といっても集落の神社にご挨拶に行ったり、お向かいに美味しい手打ち蕎麦屋さんがあったので行ったり、歩いて移動できる範囲でお散歩へ。すっかり道民なので「これが……竹!」と竹林の写真を撮ったり(北海道ではよっぽど道南に行かないかぎり竹は生えていません)。

苔むす石畳。良い……。
集落の神社。良い……。
お向かいの蕎麦屋さん。穏やかで丁寧な地元の言葉の響きが心地よい。

友達は良きパートナーと出会い1歳の赤ちゃんと、型に縛られず自分達のしたい生き方をしていました。
東京で生まれ育ち、30過ぎてから田舎へ就農、古民家を改修し1人で民宿経営&無農薬で畑や田んぼをやる。もちろん地元のコミュニティーを蔑ろにするなんてしません。そうやって実践しているうちに素敵な人がやってきて子供ができて、じゃあこれからどうしようかーーみたいなお話も、夜ビールや日本酒を酌み交わしながらゆったり聞けました。
一、二泊だとせわしなく過ごすところ、1週間滞在したことで日常の空気を乱さずじっくり滞在できたと思います。

ご飯は畑の採れたて野菜をメインに、そこの田んぼで採れたお米、そこで作った味噌、庭の鶏の産みたて卵などなど、身体も喜ぶ、地産地消大好きな私も喜ぶ美味しい食事を出していただきました。
滞在期間、札幌では毎日通っていたコンビニにも行かず(歩いて行ける距離にないし)、SNSもほとんど見ず(目の前のことの方が楽しいんだもん)、だいぶジャンク断ち・スマホ断ちした1週間でした。

裏山の竹林。うごめきそう。

田舎なので生き物オールスターズ登場!

夜は蛙の大合唱が360°から響いてきます。蛙のケチャですよケチャ。人によってはうるさく感じるかもしれません。自分自身岩手の田舎出身なので気に留めず寝ましたが。

田舎では河川敷などで普通に見られる鳥です。ここでは裏山でカップルで散歩しておりました。見た目カッコいいんで、風情ありますよね。

早朝、集落の神社にご挨拶に。帰ると、民宿の周りに獣がウロウロしています。
猿が出る地域じゃないと聞いていたため、数十メートル先に猿が現れても「毛むくじゃらで四つ足、人間の膝丈くらいの動物……チャウチャウかな? なぜ群れ? お隣さん犬飼ってったっけ? ブリーダー??」と脳も処理できません。直後に家から友達が飛び出してきて追い払い、猿たちは一斉に山へ逃げていきました。子猿も結構いて可愛かったけど、農家からしたら大問題ですもんね。

朝爽やかに山側の窓を開けたら狐が通っていきました。ホンドギツネです。北海道の狐より茶色いんですね。
鶏を飼ってるので、こちらも農家的に要注意です。
友達はそこで狐を見かけたことがないと言ってたので、たまたま遠出してきてたのかな? 人間は感じ悪いから里に降りてこないで山でのびのび暮らした方がいいよ〜〜!

私が滞在した時期は蛍の時期よりちょっと早かったため見るのは諦めていたのですが、夕食に外でバーベキュー&まったり飲んでいたら何匹もチラチラ飛び交っていました。
蛍って子供の頃は普通に田んぼとかにいた虫なんですが、今では水がきれいなとこじゃないと見られませんね。蛍も繁殖できる環境を保全している友達を上から目線で褒めておきました。

蛍ってことで「北の国から」の真似をしかけたけど、東京から来た大学生もいたり他の人に伝わらなさそうだったんで自重。

お土産は何を欲しいか聞いた方が早い

これはワーケーションには関係ありませんが、、
私の友達は、農薬・動物由来・乳製品・白砂糖・グルテン・カフェイン・添加物・放射能・アレルギー・フェアトレード・国際政治状況etc……それぞれ何らかのこだわりを持っている人が多く(そして人によって気にする気にしないがバラバラ!)、地雷を踏む可能性があり下手にお土産を買っていけません。よっぽど親しければ今現在何に気を遣っているか分かるんで問題ないんですが。
なので素直にメールで聞きました。返ってきたリクエストは「昆布」。何年もずっと友人知人から昆布を貰ってたため数年ぶりに買いましたが、パッケージも小ぶりになり値段も上がってますね。

帰札とまとめ

今回は、昔一緒に旅をした仲間でお互いどういう人間か理解している友達の民宿だったので、気を使わずノンストレスで快適に過ごせました。さらに、友達がこれまで国内外で旅をした経験があり宿泊する側のニーズを実体験で把握してるので、上手にオーガナイズしてくれました。
(この農家民宿は年内で畳んで次のステップに進むそうで、「また来たかったのに!」という残念半分、「楽しみじゃん!」という応援半分な気持ちです)

これまでは「旅」というと連続した休暇があって初めて出かけられるという既成概念を持っていました。なんなら仕事を辞めて旅に出たことも何度かあります。
「ワーケーション」となることで(業種は限られるとはいえ)仕事を切り離さなくても旅に飛び込むことができます。私なんか一人暮らしの完全リモートワークですからマンションにずっと引きこもってる状態から解放されるわけです。
行ったことのない町、乗ったことのない鈍行、聞いたことのないお国言葉、美しい川、山、海、湖、森ーーー素晴らしいところはたくさんあるのに、「休みを取れないから」「仕事があるから」と諦めなくていいなんて最っ高!

お金の面ですが、ワーケーションで連泊するとなると「宿泊費ギャワーーーーッ!!」となるところですが、今回は友達価格にしてもらった、半分働いて稼いでいる(有給があるんですが気分的に)、なんなら副業も受けて納品しているので、金銭的安心感がありました。

今回は交通費・宿泊費など全て自腹です。経費計上はしていません。ワーケーションと経費の割合についてはネットで調べてもまだ曖昧な感じなので、世の中の意見が固まってきてからでいいかなと。

一度ワーケーションを経験すると、どういう宿泊先が自分にマッチしてるか整理されてくるので、たとえば道内市町村のワーケーション施設の利用も以前より身近に検討してみたくなりました。
ただ(これは完全にそれぞれのニーズになるのですが)「旅行!るるぶやWEBメディアでおすすめしてたとこに行くぞ!わーーーーっ!」「体験や山菜採りして全部持って帰りたい!」という旅先だからこそ特別な時を過ごしたいタイプと、私みたいな「その土地の日常をウンタラカンタラ」な旅先だからこそ何気ない時を過ごしたいタイプと全然違うわけじゃないですか。マッチするところを探す嗅覚が必要ですね。

1週間友達の暮らしを見たことで、帰ってきてからフェアトレードショップで天然素材のカゴを買ったり、お茶を入れる習慣を持ってみたり、受けた影響が続いています。
それはそうとして、自分自身がそろそろ都会がしんどくなってきた(ハコに閉じ込められている感覚になることが増えた)こともあり、今後どうするか生き方としての問題が浮上してきました。私の場合衝動的に動いてもいいことがないので、頭の片隅でじっくりじんわり考えていきましょうか。

おまけ。京都の特急列車。かっこいい。