まちの映画館に行こう!

VHS→DVD→配信メディア、と映画館を巡る状況はどんどん厳しくなっていますが、大きいスクリーンで音響で映画に没入する体験もプライスレスです。
この記事で私が訪問した地方のミニシアターを中心にまとめます。

まちの映画館の何がいいか

文化ですよ、文化。祭りのようなもので。毎月のように来る人、年一くらいで来る人、それぞれが映画を観るために町の映画館にやってきます。「ニュー・シネマ・パラダイス」みたいなもので、町の人たちの時を刻んでいる、私はそんなエモーショナルな認識です。
遠方から訪ねた際に映画を観たときも、その映画の記憶と町の記憶がセットで残るのでなかなか乙な旅情にもなります。

まだまだ北から訪問できた映画館を拡げられていませんが、今後増やしていく予定です。大規模シアターは私が紹介するまでもないので割愛しております。

みやこシネマリーン@岩手県宮古市

みやこシネマリーン入口

岩手県沿岸部唯一の映画館です。宮古市は岩手県の上下に長〜〜い沿岸部のちょうど中間に位置し、浄土ヶ浜もこの宮古市にあります。陸中では一番大きな市です(三陸は陸前、陸中、陸奥の3つから成ります)
意外と内陸側で三陸道を降りてサクッと辿り着きます。なので「海沿いの映画館」のイメージで行くとちょっと肩透かし。生協の2階にあるので駐車場も広いし、ここで食事も買い物も済ませられて便利。
ここだけではなく近隣の三陸の町村で特別上映会をしてくれているのも素敵ポイントです。
スクリーン規模としては小さい部類。夏休み冬休みはキッズ向けアニメも上映していたり、岩手に関係した渋めの映画も上映していたり、扱う幅が広い印象。
2022年6月10日に訪れ、「RRR」(3度目)をキメてきました🐎🏍️💨

大黒座@北海道浦河町

大黒座外観

大正7年創業!!
浦河町は北海道はサラブレッドの名産地日高地方(太平洋岸で苫小牧より東側。地震地帯でもある)に位置し、べてるの家の「幻覚妄想大会」で一部に有名です。牧場、漁猟、福祉の強力な3本柱が印象的な町です。
この浦河町は友達の実家なこともあり何度も訪問していましたが、この大黒座にはなかなかタイミングが合わず行けないでおりました(ちなみに札幌から車で3時間弱)。
とあるライブイベントに合わせて前泊し、2023年9月9日にようやく初大黒座! 「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」を観てきました。実は内容をほぼ知らずに観たのですがダバダバに泣いちゃって、よれよれのままライブイベントに向かうことに。。老老介護を扱う内容だけに町の介護・福祉職の人たちが来ていて挨拶やら世間話やら町の日常の空気もセットで堪能できました。
建物は結構年季の入っている部類で、昭和を感じさせるレトロな佇まいです。上映作品はミニシアター寄り。

御成座@秋田県大館市

御成座外観

手描き看板で有名な御成座です。
秋田県の北東部にある大館市、特に有名なのが秋田犬! 映画館(というか駅)の近くに秋田犬を見れる市の施設もあって時々職員さんに連れられて散歩しています(もっふんもっふん!) また温泉も豊富で市内でも安く入れるので泊まりがけで行っても楽しそう。
三陸の実家からでも車で2時間ちょいなので行ける気がしなかったのですが、札幌から帰省するときに函館〜青森のフェリーを使えば大館寄れるべや!と思い立って、2023年10月9日念願の来訪となりました。津軽から青森県南部地方を通らず岩手県南部地方に抜けるときに通る道ですね。地元じゃないと何言ってるか分からないと思いますが、そうなんです。
アイルランドでまだ紛争の傷が残っている街の学校を舞台にしたドキュメンタリー映画「ぼくたちの哲学教室」を観たのですが、今の世界情勢や対話が失われ個も心も押し潰されているような現状の中タイムリーな映画でした。
田舎のミニシアターというと語弊があるくらい意外と(失礼)大きめな箱でした。足を伸ばして座れる席も一部あるのが面白かったです。上映作品はミニシアター寄りですが、時々企画ものもやってたり「おもしれー映画館」(褒め言葉)です。

サツゲキ@札幌市

映画ポスター

狸小路5丁目に移転したサツゲキです。ディノスシネマ→独立→シネマサンシャイン入り、と意外と映画ファンが少ない札幌で運営を頑張っています。
地元の映画館なので「たどり着いた〜〜!」感が無く、映画館の外観画像は無し。このときはコロナ禍での宿泊割を使い札幌駅近くの閉館間際の普段なら泊まれないようなアンティークなホテルに泊まり、狸小路まで行って「恋する惑星」の4Kリバイバルを観て、初見時の学生時代とあの頃の香港映画のかおりをWで思い出しーーと、いつもとはちょっと違う非日常なサッポロを堪能した一日でした。

シアターキノ@札幌市

映画ポスター

こちらは狸小路6丁目。同じく映画館の外観画像は無し。
シアターキノは、オーナーが認めた作品しか上映しない質へのこだわりっぷりで、上質な(?)映画ファンが集っています。

「新根室プロレス物語」という、ド田舎のドインディー(にすら含まれないかも??)のお笑いアマチュアプロレス団体のドキュメンタリー映画を観てきました。
ぶっちゃけ田舎のプロレス団体ってドキュメンタリーの題材になりがちだし、新根室プロレスのことは「ジャイアントパンダ」くらいしかほぼ知らなかったので、あまり期待していませんでした。しかし、上映劇場が「ポレポレ東中野」「シアターキノ」「横浜シネマ・ジャック&ベティ」「川越スカラ座」「シネマスコーレ」「第七藝術劇場」……と錚々たるミニシアターが並んでおり、どうも様子がおかしい……。自分の目で確認してみなきゃな、とキノまで行ったわけです。
ぐるっと回って「これぞプロレス!」な内容でした。いや、プロレスを見ない人にとっては「これぞプロレス? 何言ってるの?」でしょうが。
田舎のパッとしないおじさん達がプロレス大好きの共通点で繋がり、なんと自分たちで中古のリングを買ってプロレスを始めだす。劇中何度も「バカにされてもーー」と言ってるので、まぁ本当にバカにされたんでしょう。嫁にも逃げられて。それでもリングに上がり客の前で体を張る。客をビックリさせるためにジャイアントパンダも登場させる(本当にデカい)。なんと東京大会も成功させちゃう。そんなある日、代表のサムソン宮本は完治する見込みのない病を患いーー。
もう「人生讃歌」ですよ。オススメです。

and more

今後行けたら増やしていきます。
今狙ってるのは北海道稚内市のT・ジョイ稚内/最北シネマ、岩手県一関市の一関シネプラザです。稚内はかなり気合い入れて行かないと天候により交通機関がストップしたときに心が折れそう……。
学生以来の、盛岡のピカデリー、ルミエール、中劇にも行ってみたいな〜(フォーラムはなんだか大きくなりましたね)さぁ、いつ行けるか、何を観れるか。